社会のFRAMEを投影し、新たな供給方式と生活を包込む場としてのFRAMEを構築した半完成都市型住宅
一般的な住宅の取得スタイルには建売住宅、フルオーダーの注文住宅、スケルトンインフィル方式などがあるが、建売住宅では画一的であきたらない、一方で、土地と建物を別々に購入し、建築はフルオーダーとなると、期間もコストも多くかかる。スケルトンインフィル方式の多くは建築工事前に購入者を募る必要がある。こうした問題を払拭しつつ、立地や住む人によってひとつひとつ異なることの方が自然であるこの本来の住まいの在り方に応えることを目指して、企画と開発を行った。
HUGO KOHNO ARCHITECT ASSOCIATES
河野有悟建築計画室
一級建築士 河野有悟
http://www.hugo-arc.com/
・過去の受賞作品
2017 [Hal Halle][RUSSET ALLEY]
2016 [CO-CONNECT]
2015 [CON-FLEX][CRANKS][STREAKS]
2011[SKY FORTRESS+MISAKO GYM]
2009 [FLAP HOUSE]
2008 [東京松屋UNITY]
社会のFRAMEを投影、新たな供給方式のFRAME、生活を包むFRAMEの構築。単なる建売住宅や純粋なフルオーダーの注文住宅やSI方式など既存供給方式に対して、それぞれの問題点を払拭しつつ、多様なライフスタイルを投影できる新たな供給方式から発案された半完成住宅のデザイン。都市型住宅の原型として3つの要素から成り立つ。
- 外殻とインナーコートによって、密集地でもプライバシーを保ちつつ光や風を取込む快適な住まいとする。
- 立体格子のスケルトン構造フレームにより、面積制限の厳しい敷地でもスキップフロアや吹抜、ロフトなどの3次元的インフィルを構築できる。
- 機能要素の箱を予め配置することで建築基準法確認手続きを行い、SI方式でありながら、そのままでも住むことが可能。また、方位などの敷地条件に適応させたインフィル構築の手がかりを提供するとともに、多様なライフスタイルに順応できる自由度も獲得している。
株式会社ウルテックのアーベインシリーズに新たな選択肢(FRAMES)を加えることが出来た。社会の“FRAME”を投影し、新たな供給の仕組みとしての“FRAME”を発想し、生活の多様性を包込む器として“FRAME”を構築した。
住宅や建築のデザインや作られ方も、住まい手の生活スタイルも、その供給方法や社会、経済の仕組みや法制度との関係から定められることが多くあると思う。そうした社会背景を投影しながら、供給方法から発想を展開することで、住まいや街の成り立ちやデザインの可能性を広げられるのではないか。今回の計画はそうしたプロセスから生まれた一つの住宅建築でもあり、同時に供給方法のデザインでもある。そして、常に現代性を受けとめた建築活動を継続するための大切な姿勢“FRAME”ではないかと思う。