構造と機能を集約したコアとニュートラルな生活空間と
路地から連なるスケールと公私のグラデーション
路地の残る木造住宅の密集地域へ、その地域性を投影したメゾネット3軒連の 住まいを計画。L型の敷地形状のため、住戸に光が届き難い現状に、いかにして 光を取り込み、この立地ならではの価値を生み出す。住戸に等しく光を届けるこ とで、新たな空間性を生み出すと共に、新しい価値を付加する。
HUGO KOHNO ARCHITECT ASSOCIATES
河野有悟建築計画室
一級建築士 河野有悟
http://www.hugo-arc.com/
・過去の受賞作品
2015 [CON-FLEX][CRANKS][STREAKS]
2011[SKY FORTRESS+MISAKO GYM]
2009 [FLAP HOUSE]
2008 [東京松屋UNITY]
生活に必要な設備や機能を集約したコアを戸境に設け、リビングスペースをサポートする。その間に生まれた“SPACE”は、特定の用途に限定されない自由でニュートラルな空間となる。斜めのコア配置と開口の関係が路地とのつながり方が異なる3つの住戸をつくり、メゾネット形式のひと連なりの空間構成が、路地に開かれた1階から、プライバシーの守られた2階へ、パブリックからプライベートへと、徐々に性質が変化する空間性を付与する。
“コア”の扇状の配置が、様々な方向から到達する地震波にそれぞれ対応する構造計画となり、水平力を全て負担させることで、”SPACE”には自由な開口計画が実現し、1階には間口一杯の大開口や雪見窓、2階には横連窓と間口に並行した吹抜けが可能になった。間口一杯の横連窓は住戸内の広い範囲に光を届け、斜めのコア配置と横連窓の組み合わせが、通常光が届き難い中央の住戸へ良好な採光をもたらす。
東京には建物の更新時期が迫っている木造密集地が多くある。画一的な建替えによって路地空間は失われ、どこも変わらない、普通の街並みに置き換えられていく。このような立地だからこそ変化の中で生き、かつ、路地空間の魅力を継承した住空間のあり方を目指した。